ヘパリン類似物質を含む塗り薬の新商品とトラブル
最近CMで新しいヘパリン類似物質を含むヒルマイルドという商品が出たなと思っていたところ、ヤフーニュースでこの成分を使って医薬品と作っているメーカー同士が争っていることが話題になっていました。
ヒルドイドという医療用医薬品を販売しているマルホというメーカーが、ヒルマイルドを発売した健栄製薬に退位して、ヒルドイドとヒルマイルドが似ていることにより消費者が誤って購入する可能性があって、商標権の侵害にあたると主張し、販売差し止めを要求しているようです。
私個人的にはこの争いについてはメーカー同士の権利の問題で、消費者から見た場合はあまり大きな問題ではないと考えています。
ヒルドイドとヒルマイルドは同じ成分を含んだ同じ剤型の薬が販売されていますし、仮にヒルドイドと間違えてヒルマイルドを購入した方がいたとしても、違った薬を購入したせいで効果が半減して肌の調子が改善しなかったとか、違う薬を使用したことにより副作用が生じるということも少ないと想定されるためです。
もちろんわざわざ消費者の誤認を誘発するような商品名をつけるのは微妙かなとは思ったりはしますが、市販の薬においては明らかに医薬品ではないものが医薬品と似たような効能があるように見せかけて販売されていることが多いので、薬剤師としてはこういった明らかに異なる商品が同じような名前で販売されていることにむしろ注意喚起をしていくべきと考えています。
今回は以前にも紹介したヘパリン類似物質を含む医薬品の一覧に、新しく販売されたヒルマイルドも追加して成分とコストパフォーマンスの違いについてご紹介いたします。
ヘパリン類似物質について
ヘパリン類似物質は乾燥肌の治療成分として医療現場で最もよく使用されている成分です。
保湿・保水効果、抗炎症効果、血行促進効果があり、弱った細胞の機能を修復し、乾燥や肌荒れを正常に治す働きを持ちます。
細胞内部の機能を回復させることから高い効果が期待でき、また副作用も少なく安全性が高いことから小さいお子様や高齢者にも安心して使っていただける成分になります。
ヘパリン類似物質は医薬品として塗り薬に配合されていますが、そのほか化粧品や医薬品ではない薬用クリームなどにも配合されています。
医薬品と化粧品・薬用クリームの違いについてですが、医薬品のヘパリン類似物質は0.3%配合されているものがほとんどです。(0.3%しか存在しないかもしれません。)
化粧品・薬用クリームなどについては成分量が書かれていませんが、医薬品として規定されている量を配合することはできないので、もっと少ない配合量になります。
もちろん肌荒れ・乾燥などの症状を改善する目的なら医薬品の塗り薬をおすすめします。
ヘパリン類似物質を含む市販薬の比較
ヘパリン類似物質を含む市販薬は現在かなり種類が多く、ローション・乳液・油性クリームなどの剤型の違いも含めるとかなりたくさん種類があります。
私が調べた限りなので他にも種類はあると思いますが、下記に比較表を用意しています。
ヘパリン類似物質を含む塗り薬は主に3タイプの商品(剤型)があります。
ローションタイプ・乳液タイプ・クリームタイプの3種類ですが、ローションタイプは最もさっぱり使える化粧水のような使い心地、クリームタイプは一番しっとり保湿効果が高く、逆に少しべたつく使い心地です。
この中でクリームタイプは容器や見た目がほかのタイプと異なっているので、クリームタイプを探している方はあまり迷わなくて済むのかなと思うのですが、ローションタイプと乳液タイプは見分けがつきにくいので注意が必要です。(実際はクリームでも油性クリームと水性クリームなどがあるようですがここでは省略します。)
医療用医薬品として販売されいているヒルドイドローションというものが乳液タイプなのにローションという名前になっていることがそもそもややこしくなっている要因の1つではあるのですがローションと商品名に入っているものでも乳液タイプとローションタイプの二通りあります。
逆に商品名に乳液とかミルクなどが入っているものはAmazonのオリジナル商品だけで他は見つかりませんでした。
小林製薬の「さいき」シリーズとマツモトキヨシのオリジナル商品「ヒルメナイド」はローションタイプと乳液タイプがどちらもラインナップされていて、非常にわかりやすいし薬剤師としても間違えることがないので安心です。
ヘパソフトは後述しますが薬用顔ローションは医薬部外品で、ヘパソフトプラスというクリームは医薬品になりますので注意が必要です。
ヘパリン類似物質を含む市販薬のおすすめについて
ヘパリン類似物質を含む市販薬は調べたところ価格の違いはかなり小さく、含まれる成分に大きな違いがないことから、選びやすいものを選択すればよいと思います。
私は特に冬場に肌の乾燥で大量に消費するので化粧水タイプとクリームタイプではまとめ買いで安くなるピアソンHPがおすすめです。
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乳液タイプを初めて使用したい方はマツキヨで販売されているヒルメナイドローションは剤型がはっきりしているし、実店舗で見て買えるので安心だと思います。
ネットでもマツキヨのオンラインストアや楽天やYahooなどで購入できます。
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ヘパリン類似物質を含む保湿剤を購入する際の注意点
ヘパリン類似物質を含む保湿剤の中には含有量がしっかり描かれている医薬品と、含有量が記載されていない医薬部外品があります。
法律違反の文言などが投稿されてしまわないようにだと思いますが、ネット通販のサイトでは医薬品には口コミが投稿できないようになっていることが多く、口コミだけで探すと自動的に成分含有量のわからない医薬部外品のほうが良い商品に見えてしまいがちです。
また、販売の戦略などいろいろな事情があるのですが特に「ヘパソフト」などについては薬用顔ローションが医薬部外品でヘパリン類似物質の含量が不明ですが、ヘパソフトプラスが医療用と同量のヘパリン類似物質を含む医薬品など、同じ名前でも医薬品や医薬部外品など色々あって見分けがつきにくく注意が必要です。
ちなみに最近ニュースなどで話題になっているコーセーマルホが作っている「カルテヒルドイド」も医薬部外品で、ヘパリン類似物質の含有量は不明です。
もちろん医薬部外品の保湿剤が絶対に悪いわけではなく、日常のケアについてはヘパリン類似物質の濃度が高くないほうが副作用も少ないため安心な場合もあります。
要するに用途に応じて使い分けが必要なのですが、肌の乾燥がひどく保湿効果の高い塗り薬を探している方は「医薬品には口コミがないもの」ということを理解したうえで、上記の私が紹介した医薬品の塗り薬を試していただくことをお勧めします。
もちろん皮膚科にかかって薬をもらうのが最も安心なので、症状がひどい方は診察を受けていただくのがおすすめなのですが、市販薬を適切に使うことで症状が安定する方も多いと思います。
薬の副作用について
今回紹介したヘパリン類似物質を含む塗り薬は安全性が高いと言われていて、小さいお子様や敏感肌の方にもおすすめの薬ですが、副作用が全くないわけではありません。
まれに肌が荒れたり赤くなったりするようなことがこれまでに報告されています。
しばらく使用してみて、違和感を感じることがあれば使用を中断し、医師や薬剤師にご相談ください。
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