風邪の引きはじめに効く漢方薬の選び方

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風邪の引きはじめには葛根湯?

風邪の引きはじめには葛根湯と思う方がたくさんいると思います。
漢方薬が市販薬の中で認知されているのは薬剤師としては喜ばしいことなのですが、実は葛根湯以外にも風邪に効く漢方薬は色々あります。

漢方薬は体質や症状によって複数の選択肢の中から適切なものを選ぶというのが大きな特徴で、適切なものを使用することで高い効果を発揮し、また副作用を起こりにくくします。
一言で風邪といっても葛根湯よりも適する場合も多くありますが、その辺りの情報はあまり認知されていないような気がしております。

今回の記事では風邪の引きはじめに効く漢方薬の選び方をご紹介します。
ご自身に合った漢方薬の選び方の参考になれば幸いです。

体質と症状の簡単な見極め方

適切な漢方薬を選ぶには先ほども少しお伝えしましたが「体質」と「症状」の見極めが重要です。

風邪の漢方薬を選択する際に見る「体質」というのは「普段の体力の度合い」です。
風邪の初期に使われる漢方薬はいずれも体を温めて細菌・ウイルスに対する抵抗力をつけたり、症状を和らげることが主な作用です。

ただし、体力がない状況で体を温める成分を服用すると逆に疲労がたまり、余計に体に負担がかかることがあります。
そのため体力の度合いが薬の選択において重要な判断材料になります。

また、症状は大まかに以下を考えます。

・熱の有無
・寒気の強さ
・汗の有無

風邪の引きはじめにおすすめの漢方薬

ドラッグストアなどで購入できる代表的な漢方薬を紹介します。
ピッタリと当てはまる漢方薬がない場合は、「体力の度合い」を最優先に選んでください。

葛根湯

体力が中等度以上で、熱は微熱程度、寒気が強く、汗はあまり出ない方に使われる薬です。

体を温めて、発汗と共に体に入った病原体を追い出します。
体を温めて血流をよくすることから頭痛や肩こりにも効果があります。

種類がたくさんありますが、「満量処方」と箱に記載があるものを選ぶのがおすすめです。

手軽にすぐに飲みたいという場合はドリンクタイプもあります。
その場で飲めるのは便利ですが、少し割高になるのと配合されている量が満量ではないのが難点です。

葛根湯 (広告)

麻黄湯

体力が充実していて、熱があり、寒気がかなり強く、汗は全くでていない方に使われる薬です。

体を温める力が葛根湯よりさらに強いですが、そのため体に負担がかかりやすく体力が低下している人にはおすすめできません。
ふしぶしの痛みがあることも服用する目安になります。

葛根湯が圧倒的に市場では販売されている量が多いですが、実際葛根湯を服用されているお客様の中には相当数麻黄湯の方が適しているケースがあると思います。
成人の健常者の場合、「体力が充実している」と判断して問題ないケースが多く、もっとこの麻黄湯が認知されるとよいと個人的には考えています。

麻黄湯 (広告)

桂枝湯

虚弱体質で、熱は微熱程度、寒気はあまり強くなく、汗をじわじわかいている方に使われます。

葛根湯や麻黄湯に比べて軽い風邪に使います。
ポイントは「汗をかけていること」です。

市販薬では長引く胃腸風邪に使われる「柴胡桂枝湯」の方が有名です。
名前は似ていますが全然別の薬になりますので、ネットで購入する際などはご注意ください

麻黄附子細辛湯

虚弱体質者・高齢者で、熱はあまり上がらず、寒気がある方に使われる薬です。

体を温めるにあたり、体力を消費しにくい成分「附子」を配合しており、熱を上げることが出来ず、寒気がずっと続くような体質の方に使われる薬です。
これは体力や抵抗力が低下している体質で、風邪を引くといつも長引くと感じる方におすすめの薬です。

市販での種類は少ないですが、三和生薬の「サンワロンM」などがあります。
こちらはイオン薬局の一部店舗では3包単位で小分け販売もしています。

麻黄附子細辛湯 (広告)

妊娠中にも飲める漢方薬

妊娠中に個人の判断で薬を服用するのは望ましくありませんが、漢方薬の中から服用するものを選ぶ状況になった場合には桂枝湯を選択しましょう。

妊娠中は麻黄という生薬を控える必要がありますが、上記で紹介した、葛根湯・麻黄湯・麻黄附子細辛湯はすべて麻黄を配合しています。
桂枝湯は麻黄を配合しておらず、妊娠中でも比較的安心して飲むことができます。
(妊娠中の服用を推奨するものではありません。まずは病院で診察を受け、医師の指示に従うのが原則です。)

漢方薬は眠くならない

漢方薬には眠くなる成分が入っていません。
風邪症状に使う「総合感冒薬」は主に鼻水や鼻づまりに効く成分で眠くなることがあります。

眠気が出ると困る方は漢方薬というのが大きな選択肢の一つとなります。

長引く風邪には?

風邪の症状は時間と共に変化していきます。
例えば引きはじめの初期には熱・寒気の症状から、長引くにつれて咳が出るようになったり、お腹の調子を崩したりして、だんだんと体全体が弱っていきます。

漢方薬は症状の変化や風邪を引いてからの期間に合わせて、変えていくことが大切です。
また長引く風邪に使う漢方薬もいくつか種類があり、症状も人によって異なります。

今回紹介した4種類の漢方薬は「風邪の引きはじめ」によく使われます。
ご自身の判断で長期に服用を続けずに、服用しても症状が改善しない場合は薬剤師や登録販売者にご相談ください。

漢方薬は安全・安心?

漢方薬は安全というイメージが強いですが、使い方や体質を誤ると副作用がでることがあります。
例えば有名な副作用に「甘草」という生薬によっておこる「偽アルドステロン症」があります。

血液中のカリウムの値が低下し、「手足のだるさやしびれ、脱力感」などが自覚症状として現れます。
起こる可能性はごくまれですが、もし症状を感じた場合はすぐに服用を中止し、専門家に相談しましょう。

漢方薬も決められた用法・用量を守ることが非常に重要です。
ご自身にあった漢方薬を選択すること、そして体を温めて抵抗力を上げることで辛い風邪が早くよくなりますように。

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