アルコールとエタノール
日常生活において、アルコールとエタノールは何となく同じものだと考えられることが多いですが、正しくはアルコールとエタノールは同じではありません。
またドラッグストアでは清掃用・消毒用・燃料用など色々な種類のアルコールを取り扱っていますが、その違いについてもよくわからない方も多いようで、よく質問を受けます。
今回はアルコールとエタノールの違いや、ドラッグストアで取り扱っているアルコールの使い分けについてご紹介します。
エタノールはアルコールの一種
エタノールは別名がエチルアルコールで、アルコールの1種です。
アルコールの中では唯一飲用しても害が少なく(多量に飲めばもちろん有害ですが)、いわゆる飲み物のアルコールとはエタノールのことを指します。
その他のアルコールとしてはメタノール・イソプロパノールなどがありますが、日常生活で直接これらエタノール以外のアルコールを扱ったり関わったりすることは多くありません。
なので日常生活においてはアルコール≒エタノールという考え方が一般的になっています。
エタノールの特徴
エタノールがよく使われるのは、エタノールには以下のような性質があるためです。
①水にも油にも混ざりやすい
エタノールは水と油の両方に混ざりやすい性質があります。
そのため幅広い汚れを除去する能力が高く、特にキッチンの油汚れを落とす際などに重宝されます。
②すぐに蒸発して乾く
蒸発して乾くのが早いのもエタノールの特徴です。
水が使えない精密機器などの清掃にもエタノールがよく使われます。
ただし、下記に記載している消毒用エタノールは水を含んでいるため、水が入ると問題のある精密機器の清掃には不向きです。
精密機器の清掃には水を含まない「無水エタノール」を使用します。
③消毒作用がある
エタノールは細菌を殺す作用があります。
エタノールの効果が最大になるのはエタノール:水を8:2で混合したものになります。
したがって「消毒用エタノール」と書かれているものにはおおよそ80%前後のエタノールと20%の水を含みます。
一部のキッチン用のアルコールなどはエタノールの濃度がもう少し低くなっているものもあり、その場合、消毒作用・洗浄作用は弱くなります。
④燃える
エタノールは燃えやすい性質もあり、ランプなどの燃料としても販売されています。
一般的に燃料用として販売されているものは精製度が低く、代わりに値段も安いのが特徴です。
エタノールの使い分けについて
1.手指消毒
殺菌作用が最も強い80%の消毒用エタノールを使用します。「消毒用エタノール」「消毒用エタノールIP」などが該当します。
「IP」とは「イソプロパノール」というアルコールの一種のことで、消毒用エタノールIPにはほんのわずかにイソプロパノールを含んでいます。
イソプロパノールは飲用不可のため、イソプロパノールが配合されている消毒用エタノールIPは酒税がかからなくなり、その分値段が少し安くなります。
機能的な意味ではイソプロパノールは傷口の殺菌消毒の適用がありません。
おそらく傷口から体に取り込まれると有害になる可能性があるからだと思いますが、そもそも傷口にエタノール自体とても痛みがひどいので、IPでなくても消毒用エタノールを傷口に使うことはないと思います。
消毒用エタノール (広告)
もともとエタノールは手指の油分を奪ってしまうため、何回も使用していると肌が荒れやすいです。
肌の荒れを少しでも和らげるため、保湿成分を配合したジェルタイプの消毒用アルコールも販売されています。
使い初めにヌルヌルした感触があるので嫌がる方もいらっしゃいますが、すぐに乾きますし、手肌の保護にも役立つので、個人的にはアルコールハンドジェルはおすすめです。
有名な商品だと手ピカジェルなどがあります。
アルコールハンドジェル (広告)
2.精密機械の清掃
パソコンのモニタ・キーボードなどのホコリ・汚れを除去するには無水エタノールがおすすめです。
その他はスマホの液晶などをきれいにするのにも適しています。
水分を含んでいると精密機械の故障の原因になりますが、無水エタノールはすぐに乾くので、機械の清掃に適しています。
ネックは他のエタノール・アルコールよりも値段が高いことですが、キッチンの掃除に使ったり、手作りの化粧水を作るのに使ったりと用途が多く、家に1つ置いてあるとすごく便利です。
我が家は常に無水エタノールをストックしています。
無水エタノール (広告)
3.キッチンの掃除
油汚れを良く落とす無水エタノール、消毒の強い消毒用エタノールでも良いのですが、キッチンの掃除はキッチン用のエタノールの除菌剤を使用するとコスパが良いです。
使い分けが面倒な場合、少しコストは高くつきますが、全部無水エタノールを使うのも一つの手だと思います。
キッチン用 エタノール (広告)
4.ランプの燃料
言うまでもなく、安い燃料用アルコールを使用しましょう。
無水エタノールは高いのでもったいないし、消毒用エタノールは20%分含まれる水分が邪魔になります。
燃料用アルコール (広告)
薬局で販売されているアルコール(エタノール)の注意点
①飲み物ではありません
エタノール以外のイソプロパノールやほかのアルコールが含まれているものはもちろん飲用不可ですが、それ以外のものも元々飲む用に作られたアルコールではありません。
また、アルコールの濃度が普通に販売されているアルコールの何倍も高いです。
色々な危険が想定されるので薬局で販売されているアルコールは飲まないようにしましょう。
②清掃・掃除について
アルコールは一部の性質のものを劣化させたり、色落ちさせることがあります。
広い範囲に使用する前に傷むことがないか試してください。
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