高血圧と市販の風邪薬・鼻炎薬

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高血圧の人は風邪薬を使えない?

よく見落とされるポイントですが、一部の市販の風邪薬の添付文書に「高血圧の人は使用しないでください」と書いていることがあります。
今回は高血圧の人が使用しない方がいいとされる成分の紹介と、市販薬と医療用の医薬品での制限の違いについて紹介します。

市販薬の中に含まれる高血圧の時に使用しない方が良い成分

一部の市販の風邪薬、鼻炎薬に含まれるプソイドエフェドリンという成分は、もともと交感神経を刺激して鼻づまりを改善する効果がありますが、この成分が血圧を上げてしまうことがあるようです。

プソイドエフェドリンを含む風邪薬の代表例はベンザブロックのシリーズのベンザブロックLやLプラスや今年新しく発売パブロンシリーズのパブロンメディカルNというものです。


ベンザブロックL (広告)

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ベンザブロックのシリーズの中でも喉に効果があるとされるベンザブロックL・Lプラスでのみ鼻詰まりに効果のあるプソイドエフェドリンが含まれているのは不思議な感じですが、鼻水に効果が高いとされるベンザブロックS・Sプラスにはこの成分は含まれていません。

ベンザブロックS (広告)

また、鼻炎薬でプソイドエフェドリンを含むものは多く、昔から使われているコンタック600プラスやパブロン鼻炎カプセルSαなどがあります。

コンタック600プラス (広告)

パブロン鼻炎カプセルSα (広告)

これらの風邪薬や鼻炎薬などのように、プソイドエフェドリンが含まれる市販薬の添付文書には例外なく「高血圧の方は服用しないでください」と記載されています。

もちろん、可能性があるといっても、急激なものではないため飲んでしまったらすぐに高血圧で血管が切れるとかそこまで危険性が高いものではないと思われます。

医療用医薬品と市販薬の添付文書の違い

プソイドエフェドリンは医療用医薬品としても使用されていますが、医療用と市販薬では添付文書の記載に違いがあり、この違いが薬剤師にとっても患者にとっても混乱を招く原因となります。

医療用医薬品の中でプソイドエフェドリンを含むディレグラ配合錠という鼻炎の薬の添付文書の禁忌(使用してはいけない方についての情報)の部分で、高血圧について以下のように記載されています。

重症の高血圧の患者[症状が悪化するおそれがある。]

要するに、高血圧の方の中でもきちんと血圧がコントロールできていない方は飲まないでくださいという意味であり、高血圧と診断されて薬を飲んでいても、ある程度きちんと血圧がコントロールされていればディレグラ配合錠は服用しても良いと考えられます。

以上のことを把握したうえで、我々薬剤師は医療用のプソイドエフェドリンを含むディレグラ配合錠を飲む方には「若干血圧が高くなる場合があるようです。薬を飲んでドキドキしたり、頭痛がすることがあればご相談ください。」と伝え、市販薬のプソイドエフェドリンを含む風邪薬や鼻炎薬を飲もうとするお客様には「この薬は高血圧の方は使えません」と案内せざるをえません。

もし、添付文書の記載に従わずに服用した患者さま、お客様に健康被害が生じた際、通常は受けられるはずの補償が受けられなくなってしまう可能性があるからです。

さらに情報を加えると、医療用医薬品のディレグラ配合錠に含まれるプソイドエフェドリンの成分の含量は市販の鼻炎薬や風邪薬と比べて2倍近くの量が含まれているにも関わらず、この対応をせざるを得ないことに制度の矛盾を感じます。

専門家が間に入らずに、お客さまが個人で使うことを前提としている市販薬ではある程度制限が厳しくなるのは仕方ないのかもしれませんが、今回この情報共有をしたくて記事を書きました。

せっかく最近は病院にすぐ行くだけでなく、軽度な症状の場合はまずは自分で対処するセルフメディケーションが推進されているのに、こういう一般用医薬品(市販薬)の使いにくさは今後改善していく必要があるのではと思います。

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