貧血に効果が出る鉄剤のリニューアルとおすすめの市販薬

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マスチゲン錠のリニューアル

以前はマスチゲンS錠として販売されていた鉄を補い、貧血に効果を発揮する市販薬が最近リニューアルされたようです。新しい商品は「S」がなくなり、マスチゲン錠というものです。
(ひょっとすると両方以前からあったのかもしれませんし、リニューアル時期の詳細は不明です。)

現状ではマスチゲンS錠もネットショップなどでは販売が継続されていますが、メーカーのホームページなどからは削除されています。

今回はこのマスチゲン錠のリニューアルと、中に含まれている有効成分の変更についてご紹介します。
また、貧血に効果のあるおすすめの市販薬についてもご紹介します。

マスチゲン錠の有効成分の変更

以前のマスチゲンS錠は1錠中フマル酸第一鉄35mg(鉄として11.5mg)を含有するもので、1日2回で合計2錠服用する鉄剤でした。
新しいマスチゲン錠は1錠中溶性ピロリン酸第二鉄79.5mg(鉄として10mg)を含有するもので、1日1回1錠に用法が変更になっています。

愛知県薬剤師会のHP(https://www.apha.jp/medicine_room/entry-3544.html)の情報によるとこのフマル酸第一鉄と溶性ピロリン酸第二鉄の違いは徐放性製剤(ゆっくり鉄が吸収される)かどうかということのようです。

フマル酸第一鉄はゆっくり鉄を放出する徐放性製剤で、胃に負担がかかりにくく、胃への刺激性が少ないのが特徴です。
胃酸により変化してから吸収できる状態になるため、胃の切除を受けた方には使えないし、胃酸の分泌が少ない高齢者などは効果が弱いと考えられます。

溶性ピロリン酸第二鉄はゆっくり鉄を放出するわけではありませんが、胃酸の影響を受けずに吸収される性質のため、胃を切除した人や胃酸の分泌の少ない高齢者でも安定した効果が出る薬です。

貧血の薬でよく使われるファイチにも含まれていて、ここ最近では販売されている鉄剤で主流になっている成分です。

貧血の市販薬の有効成分の比較とおすすめの市販薬

現在、よく使われる貧血の市販薬には、今回リニューアルを紹介した「マスチゲン錠」のほか、小林製薬の「ファイチ」や佐藤製薬の「エミネトン」などがあります。

これらの貧血の市販薬における成分と価格の違いは以下のようになっています。

品名 エミネトン ファイチ マスチゲン 8~14歳用マスチゲン
画像 エミネトン ファイチ マスチゲン お子様用マスチゲン
金額(Amazon2019/6/12時点) 200錠:2,311円 120錠:2,270円 60錠:2,523円 60錠:1,539円
1日あたり金額(15歳以上) 46.22円~69.3円
(飲む量によって変動)
37.8円 42.05円 25.65円
服用方法 15歳以上:1回2~3錠、1日2回
7~14歳:1回1錠、1日2回
15歳以上:1回2錠、1日1回
8~14歳:1回1錠、1日1回
15歳以上:1回1錠、1日1回 8~14歳:1回1錠、1日1回
包装 80錠、200錠 30錠、60錠、90錠 14錠、30錠、60錠 60錠
有効成分
1日量中
(6錠中)
フマル酸第一鉄 540mg
約177mg)
溶性ピロリン酸第二鉄
(鉄として)
79.5mg
(10mg)
79.5mg
(10mg)
39.75mg
(5mg)
硫酸銅 2.1mg
硫酸コバルト 0.9mg
硫酸マンガン 0.3mg
ビタミンB6 18mg
ビタミンB12 60μg 50μg 50μg 25μg
ビタミンC 360mg 50mg 33.3mg
ビタミンE酢酸エステル 30mg 10mg 6.7mg
葉酸 6mg 2mg 1mg 500μg(=0.5mg)
銅クロロフィリン
カリウム
10mg
銅クロロフィリン
ナトリウム
10mg

エミネトンは古くから販売されている貧血に効果のある鉄剤で、かなり多くの鉄分を含むのが特徴です。また鉄以外にも貧血を予防するためのビタミンや、鉄剤によって引き起こされるお腹への負担を和らげるための成分が入っています。

そこまで多く必要なのか?と疑問が出るくらい鉄成分が多く含まれていて効果は高いと考えられます。
徐放性製剤なのでもしかしたら心配ないのかもしれませんが、鉄剤によって気持ち悪さを感じる方は鉄の含有量が多いので不向きかもしれません。

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非徐放性の溶性ピロリン酸第二鉄を含むファイチとマスチゲンを比較するとファイチの方が値段が安く、お子様用との区別もありません。
中に含まれるビタミン類に若干の違いはありますが、貧血の症状の改善という点で考えた場合、私はまずより安い価格で服用できるファイチをおすすめします。

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エミネトンに含まれている微量元素の安全性に対する考察

エミネトンに含まれるマンガン・コバルトについてネット上で健康への不安を書かれている方がいらっしゃったので私の調べた情報をお伝えします。

①硫酸マンガンについて

硫酸マンガンについては食品安全委員会の化学物質・汚染物質専門調査会の2011年2月報告書からの情報(http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20110221ko1&fileId=300)を参考にしています。

この報告書の中で、マンガンのTDI(耐容一日摂取量)0.18mg/kgとされています。
硫酸マンガン分子量151、マンガン分子量55(計算しやすいように四捨五入しています)なので硫酸マンガンに含まれるマンガンだけに注目するなら硫酸マンガンのTDI(耐容一日摂取量)は約0.49mg/kgとなります。

体重1kg当たりの量で0.49mg摂取しても問題ないなら、エミネトンに含まれる0.3mgはごく微量になるので問題ないはずです。

またマンガンについては発がん性試験も実施されていて、その中の報告では、マウスに対して64mg/kg/日で2年間連続投与して甲状腺で過形成の発生頻度が上昇、585mg/kg/日で前胃の扁平上皮限局性過形成の発生頻度上昇となっています。
1日体重1kg当たり64mgや585mgを服用していて、明確ながんができたわけではないという結果でした。

体重50kgの人間で3gや25gのマンガンを毎日2年間服用したことになります。
25gなんて塩でも過剰摂取になる量なので、それはどこか体調悪くなると思われます。

②硫酸コバルト

硫酸コバルトの生物学的な耐容一日摂取量(=服用しても問題ない量)は定められていないようです。

コバルトが吸入で毒性を発揮するなどの情報が海外で発表された経緯があるという情報を聞き、不安に感じられる方も多いかもしれませんが、コバルトは体の中で必須とされるミネラルの1種であり、体の中ではビタミンB12の構成要素として働いています。

また環境省の価格物質の環境リスク初期評価の結果(https://www.env.go.jp/chemi/report/h24-02/pdf/chpt1/1-2-2-09.pdf)の記載によると、従来から貧血に1日あたり10~400mg用いられていた経緯があります。

エミネトンに含まれている硫酸コバルトの量は1日0.9mgと従来貧血に用いられていた量の1/10以下となっています。
気になる人は他のものを使用していただければよいと思いますが、個人的にはこれらの成分が含むものを使用したからといって害を及ぼすことはあまり考えなくてもよいと思います。

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